蒼空の鼓動
「よっしゃ!これでついに手に入れたぞ!」
陽介は、握りしめた拳を空に突き上げた。
「なんだそれ?」
隣を歩く、いつも飄々とした翔太が顔をしかめる。
「あのさ、ずっと欲しかったんだ。あれ」
陽介は、少し恥ずかしそうに、リュックサックから取り出した物を見せた。
それは、薄いブルーの布地に、白い鳥の絵が描かれた、シンプルなデザインのネックピローだった。
「…ネックピロー?」
翔太は、首を傾げた。
「うん。これで、あのイベント、乗り切れるはずだ!」
陽介は、目を輝かせながら言った。
「イベント?何の話だ?」
翔太は、ますます首を傾げる。
「あのさ、来週の…あの…、」
陽介は、言葉を詰まらせる。
「なんだよ、モジモジして」
翔太は、陽介の肩を軽く叩いた。
「あの、来週の…文化祭の…、」
陽介は、やっと言葉にすることができた。
「あー、あの、合唱コンクールか」
翔太は、ため息をついた。
「そう!あの、あの、あの…、」
陽介は、再び言葉を失う。
「なんだよ、そんなに興奮して。ただの歌だよ」
翔太は、冷めた様子で言った。
「そうじゃないんだ!あの…、あの…、」
陽介は、胸がドキドキする。
「なんだよ、早く言えよ」
翔太は、陽介の背中を軽く押した。
「あのさ、あのさ…、」
陽介は、深呼吸をして、勇気を振り絞った。
「あのさ…、あの…、」
陽介は、目を潤ませながら、翔太の顔を見た。
「…あのさ、君と…、」
陽介は、ついに、翔太に告白しようとした。
「…なんだよ、急に。俺、まだ…、」
翔太は、慌てて言葉を遮った。
「…あの…、」
陽介は、言葉を飲み込んだ。
「…あの…、」
陽介は、再び言葉を失う。
「…あの…、」
陽介は、翔太の顔を見つめながら、ただ、その言葉を繰り返す。
「…あの…、」
陽介の言葉は、風に消えていった。
「…あの…、」
陽介は、ネックピローを握りしめながら、ただ、空を見上げる。
「…あの…、」
陽介の心は、まだ、答えを見つけられていない。
「…あの…、」
陽介は、静かに、ネックピローを抱きしめた。
「…あの…、」
陽介の涙が、頬を伝う。
「…あの…、」
陽介は、ただ、空を見つめる。
「…あの…、」
陽介の未来は、まだ、始まったばかりだ。
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