雨上がりの街角 (恋愛小説)

雨上がりの街角

夕立が過ぎ、街は濡れたアスファルトに煌煌と光を反射させていた。空には虹が架かり、まるで神様からの祝福のように、人々の心を和ませる。

そんな街角に、一人の女性が佇んでいた。彼女は、凛々しいショートカットの黒髪に、透き通るような青い瞳を持つ、どこか儚げな雰囲気の持ち主だった。名前は、蒼井美咲。25歳。

美咲は、心から愛していた彼氏、翔太と別れてからというもの、この街角で夕暮れを眺めるのが日課になっていた。

翔太は、美咲の隣には永遠にいてくれると思っていた人だった。しかし、二人の未来は、翔太の海外転勤によって途絶えてしまった。

「もう会えないのかしら・・・」

美咲は、握りしめた手に彼の温もりが残っているような気がして、思わず呟く。

その時、美咲の視界に、一人の男性が入ってきた。彼は、雨に濡れた髪を気だるそうに手でかき上げながら、こちらに向かって歩いてくる。

男性は、どこか物憂げな雰囲気を漂わせながらも、鋭い眼光を持つ。美咲は、彼に見覚えがあるような気がした。

「あの、もしかして・・・」

美咲が声をかけると、男性は少し驚いた表情を見せた。

「君、美咲さんだよね？久しぶりだね」

男性は、にこやかに微笑んだ。彼は、美咲の幼馴染みであり、学生時代には頻繁に顔を合わせていた、森田健太だった。

健太は、美咲の心の奥底に眠っていた、忘れかけていた感情を呼び覚ました。

「健太さん、久しぶり。まさかここで会えるとは・・・」

美咲は、健太の温かい瞳を見つめながら、久しぶりに感じる安心感に包まれた。

二人は、昔のように言葉を交わし、時間を忘れ語り合った。

「美咲さんは、相変わらず綺麗だね。少し大人になったけど」

健太の言葉に、美咲は顔を赤らめた。

「健太さんも、昔と変わらず素敵ですね。あの頃は、いつも頼りになるお兄さんのようでした」

二人は、互いの近況を語り合い、いつしか、昔のように自然と笑顔が溢れていた。

雨上がりの街角で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。

美咲は、健太と過ごす時間の中で、翔太への未練を少しずつ忘れ始めていた。

そして、健太もまた、美咲への想いを再燃させていく。

「美咲、僕はずっと、君のこと・・・」

健太は、美咲に自分の気持ちを打ち明けようとしたその時、美咲の携帯電話が鳴った。

「もしもし？・・・え、翔太？・・・今、健太さんと・・・」

電話の相手は、翔太だった。

美咲は、翔太の声を聞き、複雑な気持ちになった。

翔太は、海外での生活に慣れ、孤独を感じていたのかもしれない。

「美咲、僕を忘れないでくれ・・・」

翔太の声は、切々としていた。

美咲は、翔太への気持ちと、健太への想いの狭間で揺り動かされた。

彼女は、どちらを選ぶのか？

そして、二人の未来は？

雨上がりの街角で、美咲の運命が大きく動き出す。