勾玉の呪い

古墳のひんやりとした空気の中、トム・クルーズは土塊と格闘していた。豪族の墓で発掘体験、勾玉作りに挑戦という企画だ。カメラが回る。笑顔で土をこねるトム。しかし、何度やっても勾玉は土器の破片のように崩れるばかり。焦りが募る。

「大丈夫、トム。ゆっくりやればできるわ」

考古学者のレイチェルが優しく声をかける。彼女の指は驚くほど白く、爪は短く切りそろえられていた。奇妙な落ち着きをたたえた瞳に見つめられ、トムはさらに焦燥感を募らせる。

やっとのことで勾玉の形になった。だが、磨いても磨いても輝きが出ない。他の参加者は次々と美しい勾玉を完成させていく。焦燥感は羞恥心へと変わり、トムの額に汗がにじむ。

「手伝ってあげる」

レイチェルが微笑み、トムの手から勾玉を奪う。彼女は持参した奇妙な道具で勾玉を磨き始めた。鋭い音が響く。不気味な赤い粉が舞う。

完成した勾玉は、息を呑むほど美しかった。深い緑色に、妖しい光が宿っている。トムは思わず息を呑んだ。

「これで古墳時代の最新トレンド、勾玉アクセサリーの復活ね」

レイチェルは意味深に微笑み、勾玉をトムの首にかけた。ひやりとした感触。

その日から、トムの周りで奇妙な出来事が起こり始める。スタッフが原因不明の病に倒れ、撮影機材が次々と故障する。そして、トム自身も悪夢にうなされるようになった。夢の中では、レイチェルが血まみれの勾玉を握りしめ、何かを囁いている。

ついに、トムは耐えきれなくなり、勾玉を外そうとする。しかし、勾玉はまるで皮膚に癒着したかのようにびくともしない。

再びレイチェルが現れた。彼女はいつもの落ち着いた様子で、トムに優しく語りかける。

「勾玉はね、持ち主の魂と繋がるの。もう、あなたは私と繋がっているのよ」

レイチェルの白い指が、トムの首にかけられた勾玉を優しく撫でる。彼女の瞳の奥に、底知れぬ闇を見た。トムは、自分が恐ろしい罠に嵌められたことに気づいた。勾玉の美しさは、呪いの輝きだったのだ。

逃げ場はない。トムの魂は、永遠に古墳の闇に囚われるだろう。そして、その傍らには、永遠に微笑むレイチェルがいるのだ。

The Curse of the Magatama

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    • 小説のジャンル: イヤミス