パラパラ、テグシガルパの夜に

テグシガルパの路地裏、澱んだ空気と埃っぽい臭いが鼻をつく。薄暗い路地を、息を切らしながら駆ける俺、リオ。17歳。隣には、いつも冷静沈着な親友、SRE、本名セルジオ。

俺たちはギャング、「カラコレス」から奪った宝を握りしめていた。古代マヤの秘宝、「パラパラ」。それは小さな石の板で、一見何の変哲もないが、太陽に翳すと複雑な模様が浮かび上がるという。

「リオ、大丈夫か?」

セルジオが俺の肩に手を置く。額には汗が滲み、肩で息をしている。カラコレスの連中はしつこい。銃声こそなかったが、追っ手の足音は確実に近づいていた。

「ああ、なんとか……」

俺も息を切らしながら答える。この宝を手に入れたのは、偶然だった。おばあちゃんの形見のペンダントが、実はカラコレスが探していた古代都市の地図だったのだ。そして、その地図が示す場所で見つけたのが、「パラパラ」だった。

「パラパラ」の噂は、テグシガルパの街では有名だった。永遠の命を与えるとか、莫大な財宝のありかを示すとか、様々な憶測が飛び交っていた。俺たちはただ、おばあちゃんのペンダントの謎を解きたかっただけなのに、いつの間にか危険なゲームに巻き込まれていた。

路地裏の行き止まりに突き当たった。高い壁が俺たちの行く手を阻む。

「くそっ、行き止まりだ!」

俺は壁を叩きながら叫んだ。セルジオは冷静に周囲を見渡し、錆びた鉄梯子を見つけた。

「リオ、あそこだ!」

セルジオは鉄梯子を登り始めた。俺も慌ててその後を追う。屋根の上に出ると、テグシガルパの街が一望できた。オレンジ色の夕日が、瓦屋根の街並みを染めている。美しい景色だったが、今はそんなものを眺めている余裕はない。

「こっちだ!」

セルジオは屋根伝いに走り始めた。俺も必死に後を追う。屋根の上を走るなんて、まるで映画の主人公みたいだ。でも、これは現実だ。命がかかっている。

追っ手の声がすぐ近くまで迫っていた。

「捕まえたぞ、ガキども!」

振り向くと、カラコレスのリーダー、エル・ガトがニヤリと笑っていた。

「パラパラを渡せ!」

エル・ガトは銃を構えた。絶体絶命のピンチ。

その時、夕日に照らされた「パラパラ」が、眩い光を放った。

(続く)

Para Para, a Night in Tegucigalpa

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    • 小説のジャンル: 青春小説
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