縄文スター・ウォーズ：マンモス谷の決戦 (政治小説)

縄文スター・ウォーズ：マンモス谷の決戦

高知の山奥、中石器時代の遺跡。マンモスを模した巨岩がそびえ立つ聖地で、異様な光景が繰り広げられていた。ダース・ベイダー卿――呼吸器の機械音と土器の頭飾りが不釣り合いな黒ずくめの巨漢――が、キレキレのラインダンスを踊っているのだ。

狩猟チームの士気は地に落ちていた。マンモス狩りに失敗続きで、食糧不足は深刻化。チームを率いる族長、ヒミカは焦燥の色を隠せない。ベイダー卿は、ヒミカと秘密裏に同盟を結んだ、時空を超えた助っ人だった。

「ベイダー卿、あの…その踊りで、本当に士気が上がるのですか…？」

不安げにヒミカが問う。ベイダー卿はダンスを止めずに、機械的な声で答えた。

「心配するな、ヒミカ。これはフォースの暗黒面を利用した、古代の士気高揚術だ。見ていろ。」

ベイダー卿のダンスは激しさを増していく。縄文土器の頭飾りが揺れ、足は高く鋭く空を切り裂く。独特の呼吸音は、大地を揺るがし、不思議なリズムを生み出す。狩猟チームの若者たちは、最初は戸惑っていたものの、次第にその異様な熱気に引き込まれていく。

マンモス狩りは部族の存続をかけた一大イベント。しかし、近年、マンモスの数が激減し、他の部族との争奪戦も激化していた。資源の枯渇は部族間の対立を煽り、ヒミカの部族は孤立を深めていたのだ。

ベイダー卿の真の目的は、マンモス狩りではなく、この時代における権力掌握だった。彼はフォースの力で人心を操り、ヒミカを傀儡として部族を支配しようと企んでいた。ラインダンスは、そのための第一歩、民衆掌握のための儀式に過ぎなかったのだ。

一方、ヒミカにも秘めた野望があった。彼女はベイダー卿の力を利用して、他の部族を制圧し、この地における覇権を確立することを夢見ていた。マンモス狩りの成功は、そのための布石となる。

ベイダー卿のダンスが最高潮に達した時、狩猟チームの若者たちは雄叫びを上げ、槍を天高く掲げた。彼らの瞳には、マンモス狩りへの情熱と、ベイダー卿への盲信が宿っていた。

ヒミカは冷酷な笑みを浮かべ、呟いた。

「これで、私の計画は成功する…」

縄文時代、マンモス谷。古代の政治劇の幕が上がった。ダース・ベイダー卿のラインダンスは、単なる士気高揚術ではなく、権力闘争の狼煙だったのだ。そして、その結末は、誰も予想できない方向へと進んでいく――。