パンダと初詣 (青春小説)

パンダと初詣

第一章　初春爛漫

「パンダの春日大社参拝、めっちゃええ感じやで！」

スマホの画面に、友達のあゆみが送ってきたメッセージ。春の柔らかな陽ざしが、窓辺に差し込む。私は、机の上に積み上げた教科書とレポートにうんざりしていた。受験勉強の毎日、心が凍り付くような寒さだった。

春日大社。絵に描いたような古都の風景。パンダの姿が参拝客を惹きつける、そんな賑やかな初詣。あゆみのメッセージに、心の中で小さな希望の灯火が灯った。

「初詣の賑やかさ、ちょっぴりウザいけど、餅ぜんざい美味かったわ！」

あゆみのメッセージが続いた。確かに、初詣は賑やかだ。押し合う人波、せわしない人たち、煩わしいほどに響く掛け声。でも、あゆみの言葉からは、何か違うものを感じた。

その“何か”とは、小さな幸せ、喜び、そして、記憶に残る一瞬だった。

第二章　偶然の出会い

私は、あゆみの誘いに応じて、春日大社へと足を運んだ。予想通り、人出は凄まじかった。でも、その中で、私は、あるものを見つけた。

小さな、黒い、丸い目。大きな、白い体。そして、その姿にひっそりと寄り添う、凛々しい姿。

パンダ。

まるで、その姿は、神様からの贈り物のように見えた。周りの騒々しさは、一瞬で消え去った。純粋な感動が、胸いっぱいに広がった。

「神様、来年もパンダに幸せを分けてください！」

あゆみが呟く言葉を、私は心の中で繰り返した。この奇跡的な出会い。この、記憶に刻まれる瞬間。来年も、この場所に、また来たいと思った。

第三章　祈りと願い

参拝を終え、私たちはいつもの店で餅ぜんざいを食べた。あたたかいぜんざいの中に、幸せが溶け込んでいた。受験勉強のストレスは、少しだけ薄れていった。

「来年も、一緒にこんな素敵な場所に来ようね。」

あゆみは、穏やかな笑顔でそう言った。私たちの会話は、受験勉強の話や日常のことではなく、パンダとの出会い、そして、未来への希望の話ばかりだった。

この出会いは、私にとって、大きな力になった。神様ではないが、このパンダは、私にとって、特別な存在になった。祈りを捧げるだけでなく、この場所で、何よりも大切なものを感じた。

第四章　希望の光

受験勉強は、依然として大変だった。それでも、春日大社で出会ったパンダの姿は、私を励ましてくれた。小さな希望の光が、心に灯り続けた。

そして、待ちに待った結果発表の日。私は、合格していた。

合格発表の場所にいた友達、家族、周りの人たちの喜び、そのどれもが、春日大社で出会ったパンダと、そこでの記憶に繋がっているように感じられた。

あの日、春日大社で出会ったパンダと、そしてあゆみと過ごした時間。それらは、私の人生において、かけがえのない宝物となった。そして、来年も、必ず、また春日大社に足を運ぶことを誓った。