転生系小説　～金ピカの映画館～ (転生系)

転生系小説　～金ピカの映画館～

第一章　金ピカの幻影

金色の光が、まるで夢の中にいるかのように眩い。絨毯の上を、すり足で進む。足音が、静かに、静かに響き渡る。まるで、この場所でしか聴くことのできない、特別な音色だ。

ここは、あの映画館。

記憶は断片的にしか蘇らない。あの映画館の、きらびやかな金ピカの壁。そして、絨毯。記憶の断片が、かすかな熱で身体を焦がす。まるで、炎上する映画のフィルムのように。

俺は、記憶を失っている。自分の名前も、この場所で何をしているのかも分からない。

ただ、この映画館だけが、まるで、かつての自分とつながる唯一の糸のように、鮮明に脳裏に焼き付いていた。

絨毯は、まるで生き物のように、柔らかく、深みのある光沢を放っていた。まるで、時間そのものが止まったかのような静寂の中に、微かな振動が感じられる。

俺は、さらに奥へと進む。

映画館の奥に、巨大なスクリーンがあった。そのスクリーンには、まるで、夢を見ているかのような、色鮮やかな映像が映し出されていた。まるで、過去と未来が混ざり合った、混沌とした光景だ。

「…何だ、これは？」

俺は、自分の口から、かすれた声が出た。その声は、まるで、長い眠りから覚めた子供のようだった。

そして、そのスクリーンの映像が、自分の過去の記憶なのか、それとも…別の何かを暗示しているのか、解読できないまま、俺は、迷宮のような映画館の中を、さらに奥へと進んでいった。

第二章　転生した記憶

数時間、あるいは数日。俺は、映画館を彷徨い続けた。

少しずつ、断片的な記憶が蘇ってきた。

子供の頃、父親が連れて行ってくれた、この映画館。

あの金色の絨毯の上を、父と手を繋いで歩いた幼い日の記憶。

スクリーンに映し出された冒険物語に、夢中になったあの日。

そして、父が突然、倒れたあの日。

父は、あの映画館で、心臓発作を起こした。そして、意識不明のまま、運ばれていった。

俺は、父を亡くした。

そして、今、この映画館に、自分が存在している。

「…俺…転生したのか？」

恐怖と同時に、どこか違和感のない、不思議な感覚が襲う。

この身体は、自分ではない。

でも、どこか、自分だ。

記憶と身体の断片が、ゆっくりと、繋がってゆく。

俺が転生した。映画館、そして、転生によって失われた記憶と、失われた過去を探す旅が始まる。

第三章　謎の登場人物

映画館の奥深くにある、小さな部屋。

そこに、何かが隠されているような気がした。

部屋の中央には、金色の鏡台が置かれていた。鏡の中には、自分の姿が映っていたが、それはまるで別人だった。

そして、鏡の中に、もう一人、女性の姿が映っていた。

彼女は、とても美しい。

そして…彼女には、記憶があった。

彼女の記憶は、自分の記憶と重なっている。

彼女は、自分がこの映画館の支配人だと話す。そして、映画館には、特別な力があると。

「この映画館は、過去、未来、そして、転生…あらゆる時間を司る、魔法の場所なのよ」

彼女は、俺の記憶と、彼女の記憶、そして、この映画館の謎を解く鍵を握っているのかもしれない。

金ピカの映画館。

絨毯の上を、再び、静かに歩く。

そして、俺は、これから、どんな運命を辿るのか。

（続く）