紀州犬と県庁犬小屋 ~税金ドッグフードで満腹ライフ!?~

プロローグ

ああ、紀州犬の声がこだまする、ああ、県庁の犬小屋は今日も税金ドッグフードで満腹だ。

これは、僕、犬飼(いぬかい) 健太(けんた)が、田舎町・紀州県で体験した、ちょっと変わった冒険譚の始まりだった。

僕は、しがない県庁職員。部署は…ええと、特に名前のない、雑用係みたいなところ。毎日の仕事は書類整理、お茶くみ、そして…県庁の犬小屋にいる紀州犬たちの世話だった。

紀州犬、といえば、忠犬ハチ公のルーツとも言われる日本犬。賢くて勇敢、そして何よりも…食欲旺盛!

県庁の犬小屋には、なぜか5匹もの紀州犬が住み着いている。その理由は…まあ、色々あるらしい。曰く、県のシンボルだから、曰く、災害時に役立つから、曰く、えらいお偉いさんが飼いたがったから…

真相は闇の中。ただ一つ確かなのは、彼らが毎日大量のドッグフードを消費し、その費用が僕らの税金から出ているということだった。

第一章:異変の兆し

ある日のこと。いつものように犬小屋の掃除をしていた僕は、異変に気づいた。

「あれ…?ドッグフード、ちょっと減りすぎてないか?」

犬たちはいつも、僕が餌をあげる前から腹を空かせて騒ぎ立てる。それが普通だったのに、その日はみんな大人しく、むしろどこか元気がない様子だった。

「どうしたんだ、お前ら?食欲不振か?」

僕は、犬たちの頭を撫でながらそう呟いた。その時、一匹の犬が、僕の服の裾を引っ張った。

「ワン!」

まるで何かを訴えるように、その犬は僕を見上げて吠えた。

「…何かあるな」

僕は、犬たちの視線の先にある、犬小屋の裏手に目をやった。そこには、大量のドッグフードの袋が山積みになっていた。

…明らかに、量が合わない。

僕は直感的に、何かがおかしいと感じた。そして、その直感は、すぐに現実のものとなる。

その夜、僕は残業をしていた。誰もいない県庁の廊下を歩いていると、聞き慣れない話し声が聞こえてきた。

「…これでバレることはないだろう」

「ああ、問題ない。犬どもは何も知らない」

声の主は、僕の上司である課長と、どこかの業者らしき男だった。

僕は、息を潜めて二人の会話に聞き耳を立てた。

「…しかし、これほどの量を横流ししても、本当に大丈夫なんですか?」

「心配するな。犬の餌なんて、誰も気にしない。それに、紀州犬なんて、ただの飾りだ」

課長の言葉に、僕は衝撃を受けた。

彼らは、犬たちのドッグフードを横流ししている…!

第二章:正義のドッグフード

翌日、僕は証拠を集めるため、犬小屋の周辺を調べ始めた。すると、案の定、ドッグフードの袋が隠されているのを発見した。

怒りがこみ上げてきた。犬たちは何も知らない。ただ、お腹を空かせて僕らを信頼しているだけなのに。

僕は、課長の不正を暴くことを決意した。しかし、相手は上司。下手に動けば、自分が不利になる可能性もある。

そこで僕は、犬たちに協力してもらうことにした。

「お前ら、協力してくれるか?」

僕は、犬たちにそう問いかけた。すると、犬たちは一斉に僕を見上げ、尻尾を振って吠えた。

まるで、僕の言葉を理解しているかのように。

僕は、犬たちにドッグフードの隠し場所を教え、課長たちが現れるのを待った。

そして、その夜。

課長と業者が、再びドッグフードを運び出そうとした時…

犬たちが、一斉に吠え始めた!

吠えるだけでなく、犬たちは課長と業者を取り囲み、逃げ道を塞いだのだ。

驚いた課長と業者は、慌てふためき、その場から逃げ出そうとした。

しかし、遅かった。僕が事前に警察に通報していたため、二人は現行犯逮捕されたのだ。

第三章:犬たちの恩返し

事件の後、課長は逮捕され、横流しされていたドッグフードは全て回収された。

犬たちは、再び満腹の毎日を送れるようになった。

そして、僕も…

「犬飼くん、よくやった。君のおかげで、不正を暴くことができた」

県知事から、表彰されたのだ。

もちろん、表彰されたのは僕だけではない。

犬たちも、特別表彰を受けた。

表彰式では、犬たちがステージに上がり、大きな拍手喝采を浴びた。

ああ、紀州犬の声がこだまする。

今度は、喜びと感謝の声だ。

僕は、犬たちに感謝した。

そして、彼らとの絆を、改めて強く感じた。

エピローグ

事件の後、県庁の犬小屋は、さらに綺麗に整備された。

犬たちは、県のシンボルとして、ますます大切にされるようになった。

そして、僕は…

「犬飼さん、今度、一緒にドッグランに行きましょう!」

犬好きの同僚が増え、毎日が楽しくなった。

紀州犬と県庁犬小屋。

税金ドッグフードから始まった、僕らのちょっと変わった冒険譚は、こうして幕を閉じた。

…ただし、犬たちの食欲は、相変わらず旺盛なままだったりする。

(おしまい)

Kishu Dogs and the Prefectural Office Kennel: A Tale of Tax-Funded Dog Food and Full Bellies!

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    • 小説のジャンル: ライトノベル
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