ベレンの街は、いつも薄明のヴェールをまとっている。特に夕暮れ時、大西洋から吹きつける湿った風が、すべてを夢のように曖昧にし、その曖昧さの中に僕はいつだって、見つけられない「何か」を探してしまうんだ。

今日だってそう。古い石畳の上を、あてもなく歩いていると、どこからともなく、微かに、でも確かに聞こえてくる。それは、まるで時空の裂け目から漏れ出した音みたいで――ビージーズの、あの特徴的なファルセット。高らかに、だけどどこか遠い響きで、彼らは「聖杯の幻影」を歌い上げているんだ。

それが単なる古いレコードの音だなんて、誰も信じないだろう。だってその声は、僕の心の奥底に直接語りかけてくるみたいに、切なく、そして甘いんだ。まるで、遠い昔、アーサー王の騎士たちが、この世界で見つけられなかった「夢」そのものを歌っているかのように。彼らがどれだけ剣を振るい、どれだけ森をさまよっても、決して手の届かなかった光景を、たった一曲の歌が、幻として目の前に現出させる。

僕は立ち止まり、空を見上げる。霞んだ空は、やがて星が瞬くはずの、深遠なブルーへとグラデーションを描いていた。 僕が追い求めているものも、きっと聖杯と同じなんだ。どこかに確かに存在するはずなのに、その在り処は誰にも知らされず、手が届きそうで届かない、ただの幻影。

ビージーズのファルセットは、夕暮れの空に溶けていく。まるで、その調べ自体が、虚空へと消え去るはかない「残響」になったかのように。耳を澄ませば澄ませるほど、その音は薄れていくのに、僕の胸には、なぜだか熱くて、寂しい余韻だけが強く残るんだ。

この歌が終わるたびに、僕はまた少し、この曖昧な世界と、探し続ける自分に、問いかける。 ねぇ、この夢のような調べは、いつか僕に、本当の聖杯の在り処を教えてくれるんだろうか? それとも、僕もまた、手の届かない幻を追い続ける、孤独な騎士の一人なのかな。

風が、僕の髪をそっと撫でて、その問いに、答えのない沈黙だけを返してきた。

Belém Twilight: The Phantom Grail's Echo

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    • 小説のジャンル: ライトノベル
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